下級てき住みやかに

『介護を決める孫と暴走する親と』婆ちゃんを助けて!!

休日の昼過ぎのこと。

見慣れない電話番号から着信がある。放置しようとも考えたが、着信音が切れるまでの時間が長いように感じたため、気にとめてしまった。

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頼ってくれていいんだよ。

Googleにて、電話番号の検索を行いながら、詐欺の番号ではないことを確認。問題はなさそうだ。

着信履歴に折り返すように連絡をすると、あまり聞き慣れない電話の若い男の声。

『会長…婆ちゃんがおかしいんだ。どうしていいかわからない。相談する人がいないから助けてほしい。』

声は、少し震えて非常に慌てていた。

電話の主は、少しばかり離れた部落に、婆ちゃんと二人暮らしをしている未成年の彼からだった。

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僕のことを会長と呼んでいるのは、彼が小学生だった頃に小学校のPTA会長をしていたから…。

彼にとっては単にハンドルネームみたいなもの。

ひょろひょろの身体で、幼き頃は泣いてばかりいた印象が強い。

両親の愛情に恵まれず、祖母に育てられ、気がつけば、小さな片田舎の暴走族になり下がっていた。

◆過去記事

世間様からは、冷たいレッテルを貼られ、白い目で見られる。自業自得と言われれば何も返せない。もちろん、暴走する行為には一切擁護はしない。

飲酒運転で人を跳ねては逃走する車。抜いた抜かれたで煽りだす車。徐行しかできない高齢者の車。最大ボリュームで音楽を外の空気に撒き散らす車。

小さな田舎町の世間体を大切にしたい大人達。

迷惑条例にさほど大差なんてない。全て暴走族だ。

以前、婆ちゃんに何かあれば連絡するように彼には言い聞かせていた。

 

頼ってくれていいんだよ...。

 

 

暴走する母親。

彼の家に着いて、遠目から婆ちゃんの様子を伺う。

パッと見では特に変化には気づけない。介護のプロでもないし、そもそも論で、日常の基準値もわからないから。

見慣れぬ地区から、新興住宅の住人が急に訪ねてきたから、婆さんは緊張しているのかも知れない…。

日常的に見ている彼が曰く、日々の行動に不審な点が多くあるという。不自然な言動も幾度となく積み重なり、見るに見かねて電話をしてきた模様。

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自分自身の経験から伺える嫌な光景。明らかに認知の症状が出てきていると思える。

彼の婆ちゃんも70半ばの年代。どれだけ、孫のためだと気力を振り絞ろうとも身体は正直だ。衰えてくれば、自ずと介護も必要になってくる。

ただ、彼が未成年であることが気がかりだ...。

 

彼の両親は離婚している。

父親は、随分と昔に若い女と逃げた。母親は、奮起して子育てをするかと思いきや、婆さんに孫を託しては若い男に逃げた。

小学校でイベントがある度に、婆ちゃんが迎えに来ていたことを思い出す。幼き頃の家庭環境が、彼のその後を形成していった。

 

彼の母親は嬢である。彼がそれとなく他人行儀で語ってくれた。

『年齢詐称。ウケるっしょ。笑えるっしょ。』

笑えもしない。否定すらしない。むしろ、性犯罪を無くすための、頭が下がる仕事であるとは思う。

ただ、誰かの息子で得た収入を、実の息子に仕送りさえせず、完全放置することに違和感を覚える。

婆ちゃんの懐事情を気にしながら、勉強嫌いを演じて、高校に行かない宣言をした彼を見ていると…。

 

僕は、切なくなる。母親を軽蔑する。

 

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彼は、母親の電話番号を知らないと言い切った。

どちらかと言えば、全く興味もなく、スマホに登録する気にもなれないのだと思える。

若い男と同棲して尽くしているのだと聞く。嘘か真かも知らないし、興味も湧かない。

願わくば、彼の今後の人生のために、彼の母親が婆さんの下のお世話をして欲しいとさえ思う。

 

僕が彼の母親のお店に、ご指名で呼びつけて、叱咤したい衝動にさえ駆られてしまうよ。

 

しかしながら、赤の他人が、とやかく入り込むことではない。何が正論かなんてわからない。人様のお家事情。彼の母親が自ら望んだ道だから…。

 

現状の置かれた自分の立ち位置を、どのように解釈して振舞うかを考え、自ら結論を導き出していく。

行動が結果を育みながら、やがて、自らの道を切り開いていく。人の道の開拓とは地道なものだ。

常に与えられ続ける、制御不能な、良し悪しのイベント。淡々とこなしていくことが、それぞれの自分につかされた使命なんだと思う。

出世もお金も、付随したおまけみたいなもの…。

彼にも、ずっと言い聞かせていきたい…。

 

大丈夫だから。

婆さんの介護は、今後を見据えていく上では、必要不可欠だと思う。加えて、認知を抑制する薬は飲んでおいた方がいい。

僕も、失敗してきたから。脳の萎縮は遅延させることがベストな選択。治らないから、遅らせていくという選択。本当に初動が大事だと思う。

 

介護のスタートは、役場の福祉課に行くことから始まる。介護に携わっていないと、本当に何から始めてよいかもわからない。財政も厳しく、毎年のように方針もころころと変わる。

119 番にでも電話して、『火事ですか?救急ですか?介護ですか?』これぐらいの形式でないと、本当についていけない時代だと思う。

介護にはケアプランが必須。役場の福祉課を訪ねても地域のケアマネさんを紹介される運びとなる。

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地域のケアマネさん。介護をしている嫁が絶大的に信頼しているパートナーで、かつ、往年のママ友。

嫁に連絡をして、彼の経緯を説明し、早急にケアマネさんにきてもらうことにした。素人には難しい役場への申請も含めて相談にのってくれるだろう。

彼は、『婆さんを見る。』と言った。

その言葉だけで、十分すぎるぐらい、僕は彼のために動きたくなる。人は支えて、支えられて...。

僕も、そうして助けてもらってきたから…。

 

まだまだ、彼には介護は無理だ。

根性や忍耐だけの軽い言葉で、片が付くほどに介護は甘くはない。若いからといって容赦はしない。

『カッ』となる気持ちを抑えながら、即時、怒りを減算できる引き算の精神が必要だ。

喜怒哀楽の感情を丸裸にしては務まらない。両方が潰れてしまうのがオチだからね。

笑える余力。これ、とても大事なこと。

 

身寄りのいない高齢者が、ごまんといる世の中。地域で支えていかなければいけない時代だと思う。

彼の母親の連絡先は、昔に聞いたPTAの連絡網で僕は知っている。ネットで調べれば、電話番号の使用可否ぐらいはわかる。変更がなければの話だけど....。

役場に問い詰められたならば、僕は、堂々と情報漏えいでもしよう。

 

小さな片田舎をバイクで暴走してきた彼。世間様には、単にうるさく聞こえてくるマフラー音。

諸事情を知っている僕には、悲しい嘆きの音色にしか聞こえない。

大丈夫。しっかり支えてあげよう....。

 

 

余計な余計なお節介..!
でもね。介護は一人で抱え込むと駄目だから。

 

いつか、彼は、捨てた母親でさえも、面倒を見なければいけない選択の岐路に立たされる。血縁関係の連絡網とはそういうものだ。

その時には、損得勘定を抜きにして考えられるよう育っていて欲しい。

過去を清算して切り替えた道は、良き方向へと繋がっていく..。これが大切なことだと思うんだよ。

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