下級てき住みやかに

『障害者』税金泥棒と揶揄されて…。

平日に、会社に休みを申請して大きな総合病院へと向かっていた。

弟の障害者年金の更新を行うため、5年に一度は精神科医による診察が必要となっている。

弟が、知的障害者であることを署名してもらうがために。そして、継続して障害者年金を受給してもらうがために…。

不本意な証明書だけに、複雑な気持ちとなる。

合否判定の結果が、何れであったとしても、気分が冴えたことは一度もない。

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税金泥棒と揶揄されて

朝の精神科は非常に混んでいる。

昨今の自分の感覚ではあるが、数年の間に異様なくらいに患者数が増えたと思えてならない。

若い子達が非常に多いことにしばし驚く。

余計なお節介かもしれないが、窓口で話を聞いてあげたくなることもある。

『もう限界かい。』『挑戦してみたのかい。』『逃げだけに活路を見いだしていないかい。』

現代病の象徴であるかのように、待合室は常に病んでいるかよう…。心の病とは本当に辛いと思う。

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総合病院の大きなお客様駐車場に車を止め、弟を連れて病院の正面玄関へ向かう時のこと。

いつも社会に怯えながら、下を向いては、おどおどしながら歩く弟。過去の度重なるトラウマがそうさせている。今更ながら責めるつもりもない。

そして、中年の男性と弟がぶつかってしまう。

普通の感覚であれば『ごめんなさい。』『いいえ、こちらこそ。』たわいもない話だとは思う。

でも、違っていた。

中年の男性が、いきなり怒鳴りちらしてくる。

『テメェは、何処に目をつけている! 』

小声で  “ごめんなさい。”  ビクついて固まった弟を見ながら、中年の男性は更に罵声を浴び続けた。

『はぁーん。お前は馬鹿か!この税金泥棒が!』

僕は、診察の手続きを、いち早く済ませるがために前をスタスタ歩いていた。後ろの異変に気付き、少しばかり後戻りをして、怪訝な態度で割って入る。

『あっ、悪ぃ...。』一言だけ僕の口から漏れた。

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紐で縛っておきな

年齢的にも、さほど変わらない。されど、最大限の言葉の譲歩で中年の男性に謝罪を申し出た。

『あっ、悪ぃ…。』

これ以上の言葉は、聖者でもないため、思いつかなかった。無論『ごめんなさい』と陳謝の気持ちを添えて言い換えるほどの器も持ち合わせてはいない。

目の前の車に、まさに乗り込もうとしている中年の男性から、更に、吐き棄てられる捨て台詞。

『あんた保護者か?イライラするから、そいつを紐で縛っておきな!』

”カッ“となって反論しようとしたけど、なんとなく拍子抜けして辞めておいた。

冷静になって自分で出した最終結論は…。

『すみませんでした…。以後、気をつけます。』

 

“紐で縛っておきな“ という彼の言動に、首を傾げつつも、少々戸惑いながら彼の車をじっと見ていた。

錆びついて塗装が剥げたボンネット。既にワイヤーが見え隠れしているタイヤ。助手席側のドアは、ビニール紐でシートと硬く結びつけてあった。

自力では閉まらない破損した助手席のドア。言論どおりで、よほど、紐で縛ることがお好きなのだろう。

タイヤはワイヤーが見えており、いつバーストしてもおかしくはない状況。初めて見たかもしれない。

『直さない。買わない。』ということでなく、『直せない。買えない。』といったところだろう。

本人の懐事情を知る余地はないが、決して通行人を巻き込まないよう配慮していただきたい。

一言だけ助言するならば『歩きなよ』それだけだ。

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お金のゆとりが心を豊かにするのか、はたまた、心の豊かさがお金を生み落すのか...。凡人の僕には、何もわからないし、語れもしない。

ただ彼は、両方の豊かさを、持ちあわせていないようにも思えた。

彼には、何も言う気が起こらなかった。

彼が、発してきたであろう過去の言動が、彼の全ての結果に繋がっていると思えたから…。

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日本は法治国家で放置国家

日本は法治国家だ。

国の審査も医師の診断も甘くはない。正式な手続きを経て障害者年金を得ている。

当人が生きていくための大切な手続き。少ない生活費の半分を補ってくれる障害者年金。月額5〜6万といったところだ。高齢者が貰っている比ではない。

足りない分は、身内である僕が給料から補っていくしかない。

そして、日本は放置国家だ。

彼が誰に対して喚こうが、挑発行為を繰り返していこうが、手を出さない限りは放置される。言論の自由であり、自身の意思を述べることができる。

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でも、何だか、やっぱり悲しいと思える。

匿名で揶揄されるならば、さほど気にもしない。しかし、面と向かって罵声を浴びせられると、気分は滅入ってしまう。情景が頭にこびりついてしまう。

幼き頃に、誰かに移されたであろうウィルスで、ほんの数分間の心肺停止が弟の人生を大きく変えた。僕のその後の人生設計さえも…。

通りすがりの人に解ってくれとは言わない。でもね、本音は逃げ出したくなるくらい辛いから…。

みんな、何かを抱えて生きている..。

みんな、それぞれ....。

 

ファーストコンタクト

感情の赴くまま、場当たり的に批判をしたり、誰かれ構わず八つ当たり。

病院の施設内での出来事。いろいろな辛い諸事情も考えられる。彼の知人が入院したのかも知れない。彼が病名を告げられたのかも知れない。治療費が思ったより高額だったのかも知れない。

それでも、共存していかねばならない人間社会。

発した言葉には、常に責任が付きまとう。蓄積されていくと周りは引いてしまう。離れてしまう。

ストレスからの罵声。強がりからの罵声。何も残らなくなる。

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ストレスが募る社会。綺麗ごとだけで纏めるつもりはないけれど、こういうご時世だからこそ、思いやりという意識は大切だと思う。

とかく、お金はかからないから…。

こんな小さな片田舎。年齢的に何も変わらない。

蓋を開ければ、友達の友達の友達ぐらいには結びついていく。

『大丈夫でしたか?ごめんなさいね。』単純な切り口から始まるおまじない。

話に花が咲いたなら…。自宅に転がっている、脱着タイヤぐらいあげていたかも知れない。助手席のドアぐらいは、修理してあげたのかも知れない。

人との出会いには全てにおいて意味がある。

一期一会に近いからこそ、ファーストコンタクトは大事な事だと思うんだよ…。

ちょっと、ブルーになったから愚痴ってみた。ごめんなさい。

 

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