下級てき住みやかに

【心】人が共存する人生ってね大きな歯車の集合体だと思うわけ。

まさかと思う人の死を、たくさん目の当たりにしてきた。当たり前のように頼って流れに身を任せてきた歯車が、死という終焉を迎えることで、共存する社会の中から意図も簡単に外されてしまう。

足りない分は、誰かが成長しつつ補いながら社会を回す。人は直接的にでも間接的にでも回り続けなければいけないのかも知れない。

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当たり前のように続くと思われた日常が、前触れもなく一瞬の内に崩れ落ちる。人の道には絶対も当たり前も存在しない。

一緒に回るはずの歯車はもう存在しない。綺麗に噛み合っていたはずの当たり前の歯車が近くにないから上手く回らなくなってしまう自分の身体。遠からず近からずの関係で回っていた関連性の薄い歯車でさえもギクシャクして動きが鈍る。

ちょっとした思いがけない行動が、出逢ったことのない他人の人生の歯車をも巻き込み、少しずつ動かしてしまう。

人の繋がりとは実にそういうことだ。

足りない分を補うため、無理を承知で近くの大きな歯車にしがみついて生きてきた。タイミングは決して合わない。合うわけがない。そもそも形式も歯の数も大きさも違うから。

合わなくとも、外れかけそうでも、絡みあって自分を回す。ぎこちなくとも、自分が回ることで回してあげたい小さな歯車もあるから。

最初はギクシャクした歯車でも、回し続けることで角が取れ綺麗に回るようになる。

 

失ってきた歯車

 

僕には、子供の頃に高熱から心停止に至り、蘇生に時間を要して知的障害になった弟がいる。世間様からは馬鹿と言われる。特に責めはしない。

未熟な技量不足の馬鹿な医師もいる。熱が出ても遊び呆けてウイルスを撒き散らす馬鹿もいる。原因があって結果がそこにある。人は繋がる。ただそれだけのことだ。誰も責めるつもりはない。

 

家庭事情を全て把握している幼なじみがいた。彼女のことが大好きで、彼女も僕のことが大好きで結婚を約束した。全てを周知している彼女、大切な大切な人生の歯車だった。白血病で亡くならなければ

 

僕が高校の時、母親が癌で亡くなる。弟に取っては一番大事にしていた歯車。そして弟は、その日を境に父親の歯車に必死にしがみつくように自分の歯車を絡めはじめた。ただただ生きるために。

 

20歳を過ぎた頃、嫁に出逢う。好きとか嫌いとかそういう感情は一切なかった。彼女は美容師で、僕は客で2回ほど顔を出していた。
2回目に店に出向いた時、いろいろあって、2週間で結婚に踏み切った。彼女は、人生を一緒に回るよとだけ言って、当時付き合っていた彼氏にその場で別れの連絡を入れた。お互いに意味もわからず夫婦になった。

指輪もない。役場は馴れ初めを聞かない。書類に印を押せば電子レンジでチンするかのように簡単に夫婦を作り上げてくれる。凄い世界

恋愛でも見合いでもない。ときめいた訳でも、電気が走った訳でもない。阿吽の呼吸で瞬時に感じ取った人生の歯車。出逢いはビールを何杯飲んだかに関わらず歯車は動き始めるみたいだ。

 

結婚して、子供が産まれる。小さな壊れそうな歯車を大切にしていきたい。そんな矢先に、父親が癌で亡くなる。大きな大きな絶対的な歯車が共存する社会から外される。自分の身体が空回りして上手く回らない。弟は頼る歯車がなくなり、葬儀の後に、自分の部屋で自ら手首を切っていた。計画的に自殺をはかろうとした。馬鹿ではあるが、思いやりはある。ただただ、僕と嫁の重荷にはなりたくはないという一心だけで。

身体についた傷はやがて消えるだろう。心に突き刺さった刃は簡単に癒すことは出来ない。消えることはない。

 

とてつもない大きな力に僕等は牛耳られているように思える。逆らえない。この日を境に全ての生き方を変えることを決意した。奪うなら守るための抵抗をしていくと。

 

結婚して20年、自分が上手く立ち回れるように、周りが上手く回れるように、自分の歯車の存在を大きくしてきた。純粋に人に頼りたいから小さな歯車を増やしていく。動きが悪いなら油もさす。嫌なら歯車を外そう。

少しづつタイミングがずれて、周囲の生活も変わる。それはそれでいいのだ。自分だけが持てる小さくとも大きな世界観。自分だけが唯一選択することができる。

歯車のロジックは人それぞれに個々に存在する。自分がとった意味のないと思える些細な行動でも、全く関係のない面識のない人々にも少なからず影響を与えていく。意味のない行動なんてこの世には一切存在しないから。

コミュニケーションできなくてもいい。僕も上手くは出来ない。ただ思考は止めずに動き続ける。ちょっとした行動でも世の中は劇的に変化し続けるから。

世界は、そういう風に複雑に絡み合って人の道に繋がっているのだと思える。

本日は快晴だ。庭の草むしりをする。

後ろから娘が抱きついてくる。暑いから離れてくれ。

「行ってきます。」新しい恋愛を楽しんでいるのだろう。バッサリと髪を切り、とてつもなくボーイッシュになった顔がほころんでいる。迷いはないみたいだ。

何気ない日常の生活。僕が歩んで回し続けた歯車に間違いがないと信じたい。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。