下級てき住みやかに

【恋人の死】大好きだった幼なじみの死を乗り越えて彼女のために生きよう

桜の開花前線が発表される頃になるとふと思い出すのです。

大好きだった彼女のこと。そんな感じのちょっとせつないブログです。

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  • アキ(仮称) 幼馴染
  • ハル(仮称) 僕

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幼なじみ

田園が広がる片田舎の小さな町で、幼少の頃から高校に入学するまで彼女と共に同じ時を過ごした。

同じ空気、同じ空、そして同じ匂いのする場所で。アキは僕のかけがえのない永遠の幼なじみ。

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鍵っ子だった僕とアキ。アキのお父さんは単身赴任で、お母さんは、夜のお仕事をしていた。

そして、物心がついた時から部屋から部屋へ移動するかのようにお互いの家を往来し、一緒に食事をとり、週替わりで両家にお泊まりしていた。

お買い物するときも、お祭りのときも、花火大会も、家族旅行も、ずっとずっとアキと一緒だった。

アキは 5月生まれで、僕は 6月生まれ。たった1ヶ月間早く生まれたというだけで、いつもお姉ちゃんぶっていた。アキは、僕の手を引きずりながら、お姉ちゃんの言うことを聞くんだよって。 

初めてのキス

家の近くに小さな小さな公園がありました。
錆びれたブランコに滑らない滑り台、触るだけで赤鉄がびっしりとつく鉄棒、そして無造作に並べられた大きな土管が2つ。

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小学校の放課後、アキが今日は一緒に帰ろうと珍しく言ってきた。

アキ:「今日、一緒に帰ろう。」
ハル:「いいけど、今日ファミコンする?」
アキ:「やらない。お願いだから今日は一緒にいて」
ハル:「う〜ん やらないのか...わかった。」

とても不思議な感覚。いつもは一緒に帰ろうとは絶対に言わない。知らず知らずに合流して当たり前のように一緒に帰っているのに。なんだかその日だけはちょっと違っていた。

 

帰り道、アキが公園にある土管の中に入ろうと言った。そして、土管に入った瞬間、アキは、ふっと糸が切れたように泣きじゃくる。
僕は、「お腹が痛いの」とトンチンカンなことを聞いている。

アキは首を横に振り、両親が離婚した事を話し始めた。理由はよくわからない。アキはどっちも選べない選びたくないと言った。でも、たぶんお母さんと一緒にここに残ることになるとだけ答えた。

そして、アキは僕の顔をゆっくりみながら、

アキ:「ねぇハル。大きくなったら結婚しよう。」

そう言って僕に優しくキスをして、何も言わずそのまま家に帰って行った。

僕は土管から出られずに、ずっと独りで考えていた。嬉しいとか、ビックリしたという気持ちはない。キスをしたということで、子供が産まれると本気で信じていたから。
働かなきゃ、働かなきゃって。アキの家庭事情のことは正直飛んでしまっていた。

 

翌日、明朝 5:00に起き、母親の牛乳配達の手伝いをはじめる。次の日も次の日も、母親は、何か欲しいものでもあるのだろうぐらいで、気まぐれな息子に対して気にしないそぶりをしていた。

牛乳配達の手伝いをしたことをアキに問い詰められて経緯を説明する。アキが爆笑するまで1ヶ月間頑張った。

アキ:「キスで妊娠はしません。ほんとハルはお子ちゃまだからね。アキのファーストキスだよ。」

少しづつ、少しづつアキにも笑顔が戻ってきた。僕は、翌日から牛乳配達の手伝いをするのを辞めた。

知らず知らずのうちに、どんどんアキのことを好きになっていく。幼なじみという意識から、彼女を一人の女の子として意識し始めていった。

プチ反抗期と思春期

中学に入ると周囲の視線を気にし始め、一緒に通学することをやめた。

アキは、「そういうこと気にしないの」と言っていたが、思春期の僕がそれを否定して邪魔をする。男は硬派なんだよ。もう最悪の天邪鬼だ。

アキは吹奏楽部に入部する。毎日の帰宅が遅くなり、土日も何かにつけて練習だといって出かけて行った。家に帰れば、普段どおりのアキがいたが、「疲れたから寝るね」とだけいって、すれ違う日々が多くなっていった。

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アキがどんどん可愛くなっている。たくさんの人にちやほやされ、告白され、僕の出る幕など全くなくなっていった。

それから、なんとなくぎこちない生活が2年ほど続いた。

中学3年になると、部活動が終了し受験に向けて準備を始める。アキは県内の女子高に行きたいといった。看護師を目指すのだという。

また、アキと一緒に共にする生活が始まった。勉強は嫌いだったけど、アキと一緒にいられることが何よりも嬉しかった。塾にも一緒に通い出した。

答えがわかっていても解らないふりをしてアキの側にいた。

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アキが好き

僕とアキは志望高の高校に合格した。

川沿いの桜並木を自転車で駆け抜けながら、僕とアキは通学した。アキの学校を経由し僕は自分の学校へと向かう。少し回り道だったけどそれだけでなんだか嬉しかった。

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高校の合格が決まった時、僕はアキに告白した。付き合って欲しいといった。

ハル:「アキのことが好き。」

アキ:「えっ、どうしたどうした?」アキが笑う。

ハル:「駄目かなぁ。付き合いたいんだ。」

アキ:「急になんで?そっちの方が怖いよ。」

ハル:「なんでだろ。なんか伝えておきたい。」

アキ:「ハルは、友達以上で恋人以上だよ。ずっと一緒だよ。」

幼なじみの照れもあり、明確な答えもないまま、スタートラインに立った。なんとなく幼なじみから恋人へと昇格したように思えた。

何故か気持ちだけを伝えておかなければならない。そう感じていた。

 

土日になると二人で出かけるようになる。10数年間変わらない、いつもと同じ平凡な日々。アキが隣にいる幼なじみの感じではなく、僕の心がアキの側にいた。当たり前の日常だけど心が凄くときめいていた。

神様を信じていた。あの日が訪れるまで。

白血病

夏休みに入るころ、アキは急に体調を崩しはじめた。近くの町医者に見てもらうと、大きな病院で精密検査が必要なのだという。不安そうにしているアキを僕は、ギュッと抱きしめた。今はそれしかできない。

 

そして、アキは入院した。アキのお母さんから、しばらくはアキに会うことができないからと告げられた。 面会は登録制で家族限定のクリーンルームに入るらしい。

彼女は、白血病に冒されていた。なんで急に災いが降りかかるのだと全てを憎んだ。何もかも嫌いになった。

アキは入退院を繰り返す。退院といってもほんの数日間。やつれていくアキを僕はどうすることもできなかった。

アキ:「病気が治ったらね。暖かいところにいきたいね。」

ハル:「アキの好きなところに連れて行くよ。」

アキ:「そうだね。じゃぁ海外。オーストラリアとか。」

アキ:「楽しみだなぁ」

アキに会えない日々が続く。逢いたくても会うことが許されない。ただ、見守ることしかできなかった。

そして、開花前線が発表された頃、アキは16歳の若さで永眠した。 

それぞれの想い

僕は高校を卒業して、ワーキングビザを取得し、単身でオーストラリアに旅立つ。アキの思いと、少しばかりの違う風を感じたかった。

※ちょこっと過去を宣伝。

ワーホリ 直前 旅立つあなたに伝えたいこと STEP1 

ワーホリ 直前 旅立つあなたに伝えたいこと STEP2 

 

その後、帰郷し社会人となった。

ある日、上司に付き添われ市内の古びたスナックに向う。そこに、アキのお母さんがいた。アキのお母さんはスナックのママとしてずっと働いていた。

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ボトルが並べられているカウンターの端っこにアキと僕が高校に入学した時の写真が立て掛けてあった。

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それから、会社の飲み会の後に、独りでアキのお母さんが働くお店に足を運ぶようにもなった。若いスタッフはいない。昭和の香りしかしないお店だったから同僚や友人を連れていくこともない。

僕は、お酒も強くないし味もよくわからないけど、年に数回ほど顔を出す。そして水割りを一杯だけいただく。たわいもない近況を報告する。結婚したこと。子供が産まれたこと。入学したこと、卒業したこと。日常生活のことを淡々と説明する。

 

ある時、常連の年老いた客がカウンター奥の写真を見つけ、ママにこの子は誰だと質問している。

ママ「あぁ うちの娘と息子ね。」

常連「へぇママ、結婚してたんだ。」

ママ「はは、もう随分前に離婚していますよ。」

常連「子供達は一緒に。」

ママ「どうしているのやらね。連絡もくれないんですよ。」 笑

アキのお母さんの中で、アキは生きている。そんな感じがした。「息子かぁ」アキが生きていたら、あながち間違いではないのかもしれない。

あとがき

あれから、何十年も経ちました。アキのお母さんのお店ももうありません。

僕は、結婚をして子供達も育っている。はた目から見れば絵に描いたような幸せがそこにはあるのだろう。

ちょっとした出来事が、人生の歯車を大きく動かしその後の道を左右する。たらればは嫌いです。何度も何度もシュミレーションしたけどアキは戻らなかった。現代の医学であれば技術の進歩により完治可能であると願う。

結果論として、これでよかったとも言えないし、悪かったとも言えない。でも、僕は与えられた出会いと巡り合わせの中で今を一生懸命に生きています。

今、恋を始めた人。大切に愛を育んで下さい。

今、恋を終えた人。いつの日か、その理由が理解できる日がくると信じています。

それぞれの人にそれぞれの個々の物語があります。人生の歯車を少しづつまわしていきましょう。

 

桜が咲く頃になると、何気なくふと過去を思い出すそんなお話でした。